会社の数値がわかると経営上どんな役に立つのか~売上と原価編~

この記事で分かること
・損益計算書(PL)の内容について
・会計数値についての簡単な分析について


先生、今年の記帳入力を社員が行ってくれたので、状況を見ていただけませんか。

ご連絡ありがとうございます、拝見させていただきます。事業で何かお変わり事はありましたでしょうか。

今年はC社という大口の得意先が増えました。それで売上が大きく増え、利益も増えていると思います。ただあまり会計のことは詳しくないので、先生の観点からコメントをいただければ。

ありがとうございます。では状況を見る前に、損益計算書(PL)がどういうことを書いている表なのかを簡単におさらいしましょう。
損益計算書(PL)について

損益計算書とは、会社の利益を知ることができる決算書類です。
損益計算書は、収益・費用・利益が記載されており、英語の「Profit and Loss Statement」を略して「P/L」とも呼ばれます。
決算時に収益から費用を差し引いた利益を知るための書類なので、会社が「費用を何に使って」「どれだけ売上が上がり」「どれくらい儲かったのか」を読み取ることができます。
損益計算書を表に簡単にまとめました。


ふむふむ。損益計算書については理解しました。内容をみるに、やはり売上は増加しているし、利益も少しではあるが増加しているから順調ということでしょうか。

ではここで去年との比較を見てみましょう。
①分析(去年との比較)


社長のご認識の通り、売上の増加をはじめ利益も増加していますね。

そうですね、このまま順調に来年も同じ感じで行ければなと考えています。

ただ少しお待ちください。売上総利益率の減少が少し気になりますね。
売上総利益を得意先ごとに分解してみましょう。
②分析(売上総利益の分解)


新規受注したC社の案件が、今までの案件と比べて利益率がとても低くなっています。
しかも先日ヒアリングした結果、販管費が去年と比べて30増えた原因はC社の案件に対応するための残業代だということでしたので、実際の利益率は100-30で70ともっと低いことになります。

本当だ、、、、これは受注しなかったほうが良かったんでしょうか。

いいえ、必ずしもそういうことではありません。他と比べて利益率がとても低いとはいえ利益は出ていますので、受注したことにより会社にプラスにはなっています。

な、なるほど。。ではこれを受けてどう考えたらいいんでしょうか。

他に仕事を受注できる余力があるうちは、今のままで大丈夫でしょう。新規顧客であるC社さんと今後の付き合いもあるでしょうし。

ただ会社の従業員数など考慮してこれ以上仕事を受けられない状態だったとして、
①C社以上の条件を提示する別の新規顧客が獲得できた場合や、
②C社が取引量を増やしてほしいと打診があり、それに応える場合にはA社やB社との取引を減少させなければならない場合には、注意が必要です。

全ての事業C社のみに切り替えた場合、以下のように売上総利益が167となってしまいます。販管費(給与など)は固定で200程発生しますので、営業利益だけで-133の赤字となります。


もしこのような情報がない状態で、C社から取引増加注文があったらどうしますか?受けるでしょうか?

・・・

ご理解の通り、会社的には増加注文は受けないほうが良いことになります。

このように会社の決定に、必要なタイミングで必要な情報を提供できるようにすることが、会社の顧問税理士の役割の一つとなります。

そのためには社長様と税理士との意見交換を定期的に行い、どの事業がうまくいっているかそうでないかや事業の状況についてを話合う必要があると考えております。

そうすることで、社長様へ会計数値に対する関心も高くなることができると我々は考えております。
このページをご覧の皆様へ
みつる税理士事務所では、全ての顧問先様に記帳代行又は記帳をチェックしたのちに分析表①で示したような、去年比較ベースでのご報告を行っております。
さらにご希望の顧問先様には分析表②で示したような、お客様ごとの財務分析報告を作成し、ご提示させていただいております。
みつる税理士事務所では、社長様の会計数値に対する理解促進を応援いたします。お客様のニーズに合わせたプランを一緒に策定させていただきます。
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